【2023年度】 企業成長促進ハンズオン支援事業 鹿児島IPOプロジェクト成果報告会


鹿児島県IPOプロジェクトでは、鹿児島県内の株式上場に関心のある中小企業様を対象に、株式上場を円滑に進めるためのセミナーを実施し、参加していただいた中で特に成長意欲が高い中小企業10 社様を対象に、ニーズにあわせた個別支援(①成長戦略・計画策定支援コース、②業績・業務管理支援コース)を実施してまいりました。 今回は、個別支援を修了した10社の企業様に修了証書授与と成果報告会として取組みの成果を発表していただきました。聴講者には銀行や証券会社等の、株式上場のサポートに特化した機関の皆様をお招きすることで、今後も株式上場に向けた取り組みや、さらなる企業の成長の加速を目的とした会となりました。



鹿児島県商工労働水産部 次長 柿内 一樹 氏よりご挨拶

鹿児島県商工労働水産部 次長 柿内 一樹 氏が、開会のご挨拶をされました。柿内氏は、「このプロジェクトがきっかけとなり、参加した企業の中から将来、上場企業が誕生し、鹿児島県経済の牽引役となることを強く期待しています。」と述べられました。


企業成長促進ハンズオン支援事業の事業概要についての説明を鹿児島IPO有限責任監査法人トーマツ 角田 望 氏、全体の司会を鹿児島IPO有限責任監査法人トーマツ 山本 仁 氏が行いました。

鹿児島県商工労働水産部 次長 柿内 一樹 氏



鹿児島IPO有限責任監査法人トーマツ 角田 望 氏

鹿児島IPO有限責任監査法人トーマツ 山本 仁 氏


成長戦略・計画策定支援コースの報告会

株式会社フレッシュ青果 様

確立された経営の基本方針に基づいた中期経営計画を策定

取締役 総務部長 西原 喜人 氏

【事業内容】

東京から沖縄まで店舗を展開し、青果市場と外食・環境産業を結ぶ青果物流業。青果物を、広域店舗網から安定的にお客様へスピーディーにお届けできる体制を整備している。また自社アプリでの24時間発注や社員のモチベーション向上にも力を入れている。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

ネットワークの拡大と社員育成を目指し、信頼される流通プロとしてのチームを形成するために参加。個別の受講では、店舗戦略、DX戦略、働きやすい環境の構築などの事業戦略を整理し、中期経営計画を策定していったことを話されました。「今後は内部管理体制を強化し、上場を目指して取り組んでいこうと思います。」と述べられました。



株式会社九州ハイテック 様

年次計画の策定方法と上場に向けての準備方法や知識を取得

管理本部 総務 瀬涯 加奈美 氏・宮脇 優美菜 氏

【企業・事業の概要】

ファインコート、ファインタイル、断熱・遮熱・ロボット販売、新規事業展開しており、開発から製造、販売、施工までワンストップで対応することが強みな企業。ガラスコーディング剤業界シェア率国内95%。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

年次計画がないという課題があり、多くの推進をしていることや今後の成長、また株式上場を目指すためには年次計画による業績管理が必須だと考えたと述べられました。個別指導では年次計画の策定方法について教えてもらったと話されました。

ゼミを受けた感想では「将来の上場に向けて今からできる準備方法を学ぶことができました。今回学んだ知識を活かしながら、会社の上場を目標にさらなる会社の発展に尽くしたいと思います。」と話されました。



株式会社現場サポート 様

戦略文書を策定し、社員全体の経営戦略に対する理解を深めることに成功

専務取締役 管理本部長 吉田 竜二 氏

【企業・事業の概要】

建設業のお客様をサポートするIT企業。建設業向けクラウドサービス(SaaS)の企画、開発、提供を一貫して行っている。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

建設業に特化した情報共有システムの事業が売上の9割を占めており、新サービスが思うように立ち上がらないという課題があったとのこと。ゼミの中では経営戦略、経営計画の立て方、優位性などを考えることができたと話されました。また「戦略文書の重要性を再認識し、若手メンバーとの対話を通じて新たな視点を得ました。戦略文書に事業ドメインを記述することで解像度が上がり、社員全体の経営戦略に対する理解が深まりました。」とゼミでの成果を述べられました。



株式会社WISHシステムコンサルティング 

社員間のエンゲージメント向上に寄与

取締役兼経営企画部長 別府 智 氏

【企業・事業の概要】

主に業務系システムの構築を実施。システムコンサルティングからシステム設計、開発、運用保守までトータルサービスを提供しているのが強み。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

会社の将来を見据え、成長戦略の策定や社員間のエンゲージメント向上とIPOを目指し本プロジェクトに参加。目的達成のため、若手メンバーが中心となり企画を立案した。協議内容や資料は全社員に公開され、事業化も視野に入れたプレゼンを実施予定とのこと。参加者からは「企画の検討やプレゼン方法の勉強になった。事業化が出来るまで携わってみたい」という意見があり、企画に参加しなかったメンバーにも変化が見られたとのこと。また、「今回の経験を活かし新製品開発を進め、社員全員参加でIPO達成に向けて頑張りたい。」と述べられました。



株式会社アンクス 様

事業計画の立案や策定の整理ができ、顧客の新たなDX化の提案商材も発掘

執行役員 営業部長 川口 明宏 氏

【企業・事業の概要】

「世界をもっと楽しく」をモットーにシステム開発、受託開発授業、EC事業、クリエイティブ広告代理事業、デザイン関連の事業を行っているIT企業。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

昨年10月に他社から譲渡された「ホムペオ」事業は戦略不足で成果が挙がらず、バージョンアップが必要と判断。個別指導ではアドバイスを得て戦略と技術を見直し、事業を再始動したと話されました。自社の強み弱みを分析し、新たなコンセプトを設定。ゼミを受けた感想として「事業計画の立案や策定を実施するにあたっての整理ができたことが一番の収穫であり、新たな企業との接点を作っていただいたことも大変有益であった。本事業にて利用するツール類も社内開発・運用したことで顧客の新たなDX化の提案商材も生まれた。」と述べられました。



株式会社スディックスバイオテック 様

販売戦略やパートナーシップの支援が新規事業をサポート

取締役COO 隅田 純史 氏

【企業・事業の概要】

「糖鎖で世界の医療をアップデートする」というミッションを掲げ、PCR検査試薬の販売、糖鎖関連の研究および受託開発を行う。2023年1月10日には第9回ものづくり日本大賞優秀賞を受賞。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

新型コロナウイルスの影響で事業の縮小を予測し、横展開の新しい事業を検討。歯(口腔内)の状態が人の健康に大きく関係する課題から、PCRを使って口腔内の細菌を検査するシステムを新しく事業として始めようとしていることを述べられました。ゼミの感想では「新規事業を始めるにあたり、販売戦略など相談し、連携できそうな歯科医の先生や企業パートナーなどを紹介いただき非常にありがたかった。」と話されました。



業績・業務管理支援コースの報告会

株式会社アーダン 様

細かなヒアリングからの自社の課題発掘・改善に寄与

代表取締役 西 博顯 氏

【企業・事業の概要】

奄美市を拠点に、繭を加工した化粧品やサプリメントを製造。昨年12月に立ち上げた再生医療素材の製造企業が鹿児島大学からベンチャー企業の認定を受け、新しいシルクの開発や養蚕に関して農水省の研究機関と連携しています。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

中長期経営戦略の策定、売上・製造原価、経費などのリアルタイムでの把握、市場変化に応じたマーケティング戦略、家族経営からの脱却などあらゆる課題を出してもらい、着手できるところから対応していることや、IPOに向けたロードマップについて述べられました。また、「トーマツの方が奄美まで足を運び、現場スタッフとヒアリングしてくれました。スタッフのやる気とデータの充実を改めて認識することができました。」と話されました。



マイクロカット株式会社 様

IPOを企業成長の手段と捉え、組織的管理体制の改革に着手

経営企画部 部長 松元 志朗 氏

【企業・事業の概要】

金属部品精密加工、光通信用金具部品、電子機器用金具部品の取扱いをしており、世界最先端の標準化された加工技術を確立。世界に通用する最先端の「ものづくり集団」を目指して、人・製品・環境の質の発展向上に取り組んでいる。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

創業から20年が経過し、現在従業員数は300名を超え、本社工場(10棟)・関東工場・営業拠点(国内外4か所)と企業規模は大きく変化。組織的管理体制の整備が必要と判断し、IPOを企業成長の手段とし、準備を進めており、その一環として今回、役員・本部長・部長クラスを対象に予実管理体制の整備に関する支援を受けたことを話されました。また、「今後も引き続き、IPOに向けた準備を着実に進めていきます。」と話されました。



株式会社国分ハウジング 様

内部監査実務を習得し、コーポレートガバナンスを強化

管理部 部長 生地 冬暉 氏

【企業・事業の概要】

「九州で一番コストを抑え品質の高い住宅を提供する」をビジョンに注文住宅の販売、注文住宅の設計・施工、一般住宅の分譲、土地の売買・仲介/中古住宅販売・仲介・不動産業務、宅地造成を行う。幅広い客層に対応した8ブランドを立て多様化する住宅ニーズ対応。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

現在、鹿児島、宮崎、大分の3県に17営業所を展開しており、宮崎県と大分県での展開を拡大し、九州内別県への進出も検討中。急成長に伴い管理体系の構築が急務であり、コーポレートガバナンスの強化が最優先課題と認識したため、個別支援では、内部監査機能の充実を図るため、各業務の内部監査手続を教えていただいたと話されました。結びに「九州一帯で出店をしていき、株式上場を目指して走っていきます。」と話されました。



株式会社TSグループ 様

後継者不在業界をアシストできる「カシスト」事業を開発

代表取締役 吉松 良平 氏

【企業・事業の概要】

各種塗装防水工事請負施工 。点検にきた職人が現場施工まで一貫して対応する直売りの塗装屋。点検、施工、アフターまで対応できることが強み。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

現場スキルの承継課題に着目し「カシスト」事業を開発。「カシスト」事業の事業計画や業績管理の支援について成果報告していただきました。「カシスト」は育成プログラムのない中小企業に対して、現場スキルを承継できる育成プログラムであり、建築塗装やホテル、タクシードライバー等モニターいただいた企業様からは「多言語も可能で海外技能実習生からの反応が良い」などのお声をいただいたことを話されました。プログラムの作成経緯として「これまで自社で必要だったから。」と述べられ、「将来、上場を目指すとともに、後継者がいない業種にどんどんアシストできるような企業に成長していきたいと思う。」と話されました。



プレゼンテーション後には、参加いただいたサポート機関様※から、各社に対してそれぞれ講評をいただく時間も設けられ発表企業の皆さんの今後のさらなる成長につながる貴重なご意見となったのではないかと感じられました。


講評

会の最後には、九州FG証券株式会社 代表取締役 海ヶ倉 浩文氏、証券会員制法人福岡証券取引所 営業次長 下園 信夫氏、有限責任監査法人トーマツ パートナー 城戸 昭博氏から講評をいただきました。個別支援を修了された企業様のさらなる成長意欲の刺激と、様々な分野を越えた関係性構築の貴重な交流の場となりました。


九州FG証券株式会社 代表取締役  海ヶ倉 浩文氏

皆様に先駆者としてIPOのライセンス取得を実現してほしい

九州FG証券株式会社 代表取締役  海ヶ倉 浩文氏

「事業計画の策定にあたっては各社の強みと課題などを客観的に捉えて利益計画の策定根拠を明示されるなど将来上場された際のIRへも通じる発表内容であったと感じました。本趣旨にもある通り、地域の企業が成長し、雇用や産業を創出し、地域が活性化される循環経済を目指すにあたりまして、皆様にはその先駆者としてIPOのライセンス取得を実現してほしいと思います。」と話されました。



証券会員制法人福岡証券取引所 営業部次長 下園 信夫氏

仲間をたくさん作り、多くの方に相談してほしい

証券会員制法人福岡証券取引所 営業部次長 下園 信夫氏

「皆様の発表を聞いて、今の段階でIPOを目指せる企業だと感じております。鹿児島と聞くと、地方扱いで上場しにくいのではないかという話を聞かれることもあると思います。ですが、他の県では人が集まらないところもある中、鹿児島では出席者が多く、熱のあるセミナーが開催されていることを実感しています。鹿児島で上場していただいて、売上、利益を上げていただいて鹿児島に恩返しをしていただきたいと思っています。また今日集まっている方と名刺交換会や懇親会もありますので、仲間をたくさん作っていただきたい。また我々も支援という形で目的は一緒ですし、専門知識を持っている方が集まっているので、仲間と思っていただいていろんな方に相談してほしい。」とお話しいただきました。


有限責任監査法人トーマツ パートナー 城戸 昭博氏

上場会社を育成するため、全力を持ってサポートさせていただきたい

有限責任監査法人トーマツ パートナー 城戸 昭博氏

「成果報告を聞いて、皆様にIPOを目指してほしいと思いました。九州の人口は減ってきていて、その地域を盛り立て、活性化するためには人口が増加することがマストだと考えています。その1つの有効な手段として、上場会社を、育成して誕生させて、雇用を増やすことが有効だと思うので、我々も全力を持ってサポートさせていただきたいと思います。今後も何かあればお問い合わせいただければできる限りのサポートは致しますので引き続きよろしくお願いいたします。」と述べられました。


参加いただいたサポート機関様

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