【2024年度】第5回上場を目指すための企業成長セミナー「組織性」を開催いたしました!
2024年10月29日、鹿児島中央ビルディングにて第5回セミナー「組織性」が開催されました!
「情報は財産」専門家に任せきりでは危険?IT統制で安心して働ける会社づくりを
有限責任監査法人トーマツ マネジャー 田村 充氏
第1部のセミナーは「上場に向けたIT統制の整備」と題し、ITに関する内部統制のポイントや、DXへの取り組みについて語ってくださいました。
IPOを目指すにはリスクマネジメントは必須。上場会社の経営者は、内部統制の有効性を評価し、評価結果について監査を受けることが義務付けられています。特に、今日の社会とITは密接に関わっており、IT統制が重要となってきます。管理体制が整っているか、システムが不具合なく機能しているかなど、重要なポイントは多く存在します。
田村氏が何度も訴えたのは「専門家に任せきりで本当にいいのか?」という点です。ITを扱う上で、サイバーリスクはつきもの。専門家に丸投げするのではなく、「どこまで任せるのか」「専門家がやっていることをどのレベルまで把握しているのか」社内で把握していることが重要だと語ります。
「任せきりではいけないとは、専門家を信用していけないということ?」「社内の人材を信頼してはいけないということ?」と疑問を抱えた方もいらっしゃるかもしれません。田村氏は、「内部統制は性悪説に基づくのではなく、人が安心して仕事ができる体制を整えるということ。システムやルールを敷くことによって、リスクや危険の芽を生み出さないことがIPOを目指す会社のやるべきことではないか」と語りました。自分たちのシステムの状況を常に把握し、リスクを排除する仕組みづくりが重要だということがわかりました。
12兆円の損失!?DXで「2025年の崖」に備える
続いて、田村氏はDXの重要性についても語ります。
DXとは、Digital Transformation(デジタル変革)のことで、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と経済産業省によって定義されています。
現代社会でIPOを目指すならば、DXはなくてはならない存在です。DXを推進することで、デジタルの力で効率化を進め、余剰時間を作り、その創出した時間を使ってさらに事業を発展させ、競争上の優位性を確立することが可能となります。今回キーワードになったのは、「2025年の崖」。IT人材の引退や企業システムの複雑化・老朽化・ブラックボックス化などにより引き起こされる様々な問題のことを指します。この影響は日本経済に年間12兆円の損失をもたらす見込みがあり、損失を回避するために人材面やシステム上の課題をクリアしなければなりません。その課題解決の一歩として、DXが重要だと田村氏は語ります。
「2025年の崖を乗り越えた先には、デジタルが浸透した社会が待っている。ここで競争力を確保するためにはDXが必要。DXを自分ごとと捉えて一歩を踏み出すことが重要になってくる」と田村氏は語りました。IT統制同様、専門家に頼ることは重要ですが、核となる人材を社内で育ていることが必要であることがわかりました。そして、さらに田村氏には、「デジタイゼーション」というアナログデータからデジタルデータへの変換というDXの第一歩をはじめとする、DXに取り組む際のキーワードや、DX推進に向けたプロセスなど多くのことを教えていただきました。
第2部ワークショップ「上場に向けた組織作りのポイント」
有限監査法人トーマツ マネジャー 山本 仁氏
山本氏は、「社長に何があっても組織が回る企業であるべき」と述べ、管理職人材の育成や意思決定プロセスなど、組織作りのポイントについて教えてくださいました。
現在IPOをしている企業は、組織が機能しているか、組織運営能力があるか、人材は充実しているかなど、様々なチェック項目をクリアしており、組織体制が安定していることが前提となっています。
「個人の裁量だけに依存することなく、組織的に運営できるような会社の骨組みを作ることが重要。規定の整備や組織の見直しで、より良い組織づくりを目指してほしい。」と語りました。
解説を終え、本題のワークショップに移ります。今回は、現状の組織づくりにおける課題について考え、それらの解決策として、1部で話題に上がった「デジタル」を活用する方法を考えていただきます。今回準備された上場適正度チェックリストは、組織人材にフォーカスを当て、組織や社内風土、人材の充実度など組織づくりに必要な項目が具体的に示されています。皆さんチェックリストを見ながら課題を見つけ、解決策を編み出しています。
そしていよいよディスカッションの時間です。今回も各グループにサポートスタッフが入り、課題を共有し合います。「採用の拡充」「中堅社員の育成」「人事制度の刷新」など、様々な課題が飛び交います。
今回参加者の皆さんが苦戦されていたのは「デジタルを活用した解決策」という点。チェックリストをもとに具体的な課題が見つかっても、解決策としてデジタルを活用する案にまで結びつけることは困難です。第1部のセミナーで語られた、「DXを自分ごととして捉える」ことがいかに重要かを再確認する機会となりました。
しかしながら、課題としてDX推進を挙げた企業に対し、「デジタルに馴染みの薄い社員に対して、あえてDXという言葉を使わず、新技術に触れる機会という伝え方をすることで、抵抗感をなくすだけでなく、意欲向上に繋がるのではないか」という提案がなされました。これはまさに、「DXを自分ごとと捉える」ための工夫。解決策の一歩先へ、解決に至るまでの工夫までも意見が飛び交う、和やかながらもアクティブなディスカッションとなりました。
第6回上場を目指すための企業成長セミナーは「社会性」
今回のセミナーでは、リスクを未然に防ぐためにIT統制が重要であり、同時にDXを推進していくことでより良い組織作りが可能となることが理解できるセミナーとなりました。
第5回上場を目指すための企業成長セミナー「社会性」もご期待ください。
▼お申し込みはこちらから受け付けています▼
1 日 時
令和6年11月8日(金)15:00~17:00
2 会 場
鹿児島中央ビルディング8F
3内 容
【セミナー】上場における法務リスクと留意点
【講師】弁護士法人如水法律事務所 代表 橋本 道成 氏
【ワークショップ】上場の準備をするにあたって
【講師】有限責任監査法人トーマツ 角田 望 氏