【2025年度】企業成長・経営革新支援コース 企業成長セミナー「DX」を開催いたしました! 

2025年10月20日、鹿児島中央ビルディング 8Fにて、企業成長セミナー 企業成長・経営革新支援コース「DX」を開催いたしました。


IT未経験からスタート 中小企業のDX奮闘記

株式会社フレッシュ青果 DX推進室室長 澄川和治氏

今回は、2024年11月にDX認定を取得された株式会社フレッシュ青果の澄川和治氏を講師にお招きし、デジタル技術を活用した青果流通プラットフォームの構築を通じた、企業成長につながるDXのリアルな取り組みについてご講演いただきました。

澄川氏は、入社当時IT業務の経験がなく、配達や事務作業など現場経験を多く積んだ社内SEとしての視点から、「ITの専門家としてではなく、中小企業の奮闘記」として、飾らない「泥臭い部分」を交えて語られました。

DXのきっかけとなった「痛み」と「危機感」

フレッシュ青果がDXに取り組むことになった背景として、社内の「痛み」と「危機感」が語られました。当時の経営課題は深刻で、ベテラン社員に頼りきりで、特定の得意先の注文が属人化し、ベテラン不在では対応できない状態や、毎日の大量の伝票入力により、社員が深夜まで残業を強いられている状況など、ベテラン社員の「勘と経験と気合」に頼る精神論的な経営から脱却する必要に迫られていました。

澄川氏は、「このままでは、培ってきた技術やノウハウが途絶えてしまう。若い人が魅力を感じる職場でなければ未来はない」という強い危機感を抱き、「変わらなければ、生き残れない」という切実な思いがDXの出発点となったと強調されました。


DXでみんなをハッピーに フレッシュ青果のビジョンとは

DX着手の第一歩として、まず行なったのは「旗を立てる」こと。すなわちDXによって達成されるビジョンと戦略を明確にすることが重要だと述べられました。フレッシュ青果のDXビジョンは、「デジタルを使って、生産者から消費者まで関わる人みんなをハッピーにしよう!」フレッシュ青果のDXは、単なる改革ではなく、関わる全ての人々の幸せを形成するための手段としてスタートしました。

そうして歩みを始めたフレッシュ青果のDXへの道。まず、当時の主要な課題であった、毎日200〜300枚届くFAXでの発注書処理の効率化に着手しました。そうして誕生したクラウドFAXシステムは、受信FAXのデータ化とサーバー内での受信を実現。自動仕分け機能により、これまで手作業で仕分けをしていた担当者ごとの得意先のFAXをすぐに確認できるようになり、FAXを探す手間が解消しました。システム導入の効果として、一人あたり30分〜1時間の時間短縮(会社全体で100〜300時間の短縮)を実現しました。さらに、AI-OCR機能の追加開発を行い、FAX受信と同時に受注データを自動生成する次の進化を実現しました。

澄川氏は、DXの失敗談と学びとして、「多機能なツールを入れたが、難しすぎて誰も使わなかった」という失敗談も共有されました。この経験から、「『かっこいいDX』より『現場が本当に助かるDX』が大事であることを学んだ」と語られました。組織作りの根幹は、理念に基づいた文化作りであると強く訴えかけ、セミナーを締め括りました。

DXへの第一歩 自社の現状を深掘り

有限責任監査法人トーマツ 角田 望 氏

第二部では、セミナーをもとに、参加者が自社の課題に取り組むためのワークショップが開催されました。

ワークショップの導入として、まずDXの定義について確認されました。DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル変革であり、2004年にスウェーデンで提唱されたものです。

また、デジタル技術による創造的破壊を示す「デジタルディスラプション」が紹介され、Uber、Amazon、Airbnbなどの事例が挙げられました。これらは事業者から見れば脅威である一方、消費者から見ればデジタルが浸透した不可避な社会像・未来像であると語られました。

DXを成功させるためには、デジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタル化)とデジタライゼーション(デジタル技術による業務効率化)ができていることが前提だと強調されました。「むやみやたらにデジタル化するのではない」ことが重要であり、目的なく進めるとDXに辿り着かない可能性があるとのことでした。

そのような失敗を防ぐために、将来の事業成長をイメージしながら取り組みを進めることと、ベンダーに丸投げせず、必ず経営陣も絡めた社内チームで取り組むことが重要と語られました。

また、業務見直しの流れとして、フローチャートを利用した図式化が有効であると紹介されました。個別業務の最初から最後までを図式化することで、業務の流れが一覧でき、現状の問題点を浮き彫りにしやすくなります。

DXについて定義を再確認したところで、いよいよ参加者の番となり、ワークショップがスタートしました。今回のワークショップは、自社のDX推進における課題を洗い出し、DXにより解決したい課題に対する具体的なアイデアを導き出します。参加者には、自社の状況とDXに向かって必要な要素がリスト化された「DX推進チェックリスト」が配布され、これと自社の現状を見比べることで、課題を浮き彫りにするよう促されました。

各自で自社を見つめ直す作業を行なった後、グループごとに意見交換を行い、具体的なアイデアをグループごとに共有し合いました。各社それぞれの悩みを打ち明けあう中で、共感の声が漏れる場面も。同じ鹿児島で成長を目指す参加者同士による活発な意見交換が行われ、DX推進に向けた新たな一歩を踏み出す意欲的な空気の中、本セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。

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