【2025年度】企業成長・経営革新促進ハンズオン支援事業 KIP成果発表会

2026年3月18日、鹿児島中央ビルディングにて、「企業成長・経営革新促進ハンズオン支援事業 鹿児島【I】プロジェクト成果発表会」が開催されました!

集合写真

KIP(鹿児島【I】プロジェクト)は、成長意欲の高い県内企業に対して、企業成長や株式上場を円滑に進めるためのセミナーや成長戦略を策定するゼミ等を実施し、企業の生産性を高めて付加価値額を向上させ、企業の成長促進を図ることにより、雇用の促進、地域経済の好循環を高めることを目的としています。

今年度は、鹿児島県内の株式上場に関心のある中小企業様を対象に、株式上場を円滑に進めるためのセミナー(全2回コース)と、経営革新など企業成長を円滑に進めるためのセミナー(全4回コース)を実施しました。また、特に成長意欲が高い中小企業様を対象に、ニーズにあわせた個別支援(①IPO支援コース:6社、②企業成長・経営革新支援コース:11社)を実施してまいりました。

今回は、個別支援を修了した17社の企業様に修了証書を授与するとともに、IPO支援コースを修了した6社の企業様に成果発表会として取組みの成果をご発表いただきました。聴講者には、銀行や証券会社等のサポート機関の皆様をお招きし、発表企業の取組みについて意見等をいただき、株式上場や企業成長・経営革新に向けた実りある場となりました。

鹿児島県商工労働水産部 部長 北村 貴志氏よりご挨拶

鹿児島県商工労働水産部 部長 北村 貴志氏より「本日の発表や支援機関とのやり取りが、各企業のさらなるブラッシュアップに繋がることを期待している。参加企業の中から近い将来、上場企業が生まれ、本県経済の牽引役となっていただくことを強く期待している。」と挨拶がありました。

企業成長に向けた国の支援策説明会

経済産業省 九州経済産業局 産業部 経営支援・金融課 課長補佐 井澤 拓也氏

九州経済産業局の井澤氏より、「100億企業創出に向けた施策の方向性」についてご講演いただきました。

「100億宣言」とは、経営者が自ら会社の成長をコミットし、対外的に公表する取り組みです。その核心にあるのは「経営者の本気」。宣言することで補助金申請の資格を得られるほか、宣言企業同士のネットワークへの参加といったメリットも生まれます。

また、井澤氏は「誤解されやすいのですが」と前置きされたうえで、100億宣言は単なる補助金政策ではなく、宣言・ネットワーク・人材支援など多様なメニューを組み合わせた、総合的な成長支援の仕組みであることを強調されました。なかでも「成長加速化補助金」第1次公募における全国の採択率は約16.3%と競争率が高く、今回の第2次公募からは投資計画書の中に、経営者自身の言葉による成長ストーリーの記載や、金融機関によるコメントの添付が新たに求められています。

宣言企業の交流会も各地で開催されており、昨日はついに九州初となる熊本開催が実現しました。告知からわずか1週間で100名を超え、北海道・沖縄からの参加者も含む約160名が一堂に会するという盛況ぶり。井澤氏も「こんなに周知に困らなかったことはない。企業の成長経営や経営者ネットワークへの高い関心が伺えた。」とおっしゃるほど、熱気あふれる場となったようです。

成果報告会

株式会社アーダン 様

奄美の素材と技術を世界へ デジタルの力で”ファン”をつくるIPOへの挑戦
代表取締役 西 博顯 氏

【事業内容】

奄美大島を拠点に、約30年にわたりシルクを用いた化粧品の自社一貫生産・販売を行っている株式会社アーダン様。大島紬の産地である強みを活かし、奄美の天然素材を50%以上配合し、界面活性剤を使わない独自の化粧品製造技術を持っています。鹿児島大学発のベンチャーとしてシルクを用いた創傷被覆材などの研究も行っており、2025年には新スキンケアブランド「ADAN SILK」を立ち上げました。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

「ADAN SILK」のデジタル展開と、医薬部外品「シルケイド」のEC活用を、今回の課題として掲げられました。プロジェクトを通じて、自社ならではの強みや顧客に伝えるべき価値を議論し、インスタグラムやAmazonでの動画広告配信をスタート。今後はフォロワーをファンへと育てるCRM戦略や、UGCを活用したコンテンツづくりが次なるテーマとのこと。
「農業をやりながら化粧品を販売するメーカーはそれほど多くない。その強みをもっとネットの技術を使って広めていきたい」と力強く語られました。

株式会社オーリック 様

50社を束ねる連結決算への道 グループ経営の基盤を築いたIPOへの歩み
取締役 方志 貴子 氏 

【事業内容】
1989年に鹿児島で創業し、現在、九州シェアNo.1を誇る業務用酒販店を展開する株式会社オーリック様。M&Aを積極的に活用して事業を拡大しており、酒類・食品事業や建設・不動産事業を含め、グループ全体で約50社規模の組織となっています。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】
今回の課題として、約50社分の連結決算をExcelで対応していた実務の限界と、M&Aで買収した企業間における会計システムや勘定科目のバラつきをあげられました。
プロジェクトを通じて社内に連結決算チームを発足し、組織再編でグループを35社に統合するとともに、会計システムの統一を実現。追加コスト0円のまま、当初より1年前倒しで連結決算の作成を開始できたことが大きな成果です。

「グループ全体のキャッシュポジションを把握し、財務をさらに強化していきたい」と、今後の展望を力強く語られました。

株式会社国分ハウジング 様

急成長を支える人事の土台づくり IPOを見据えた組織力の強化
管理部 部長 生地 冬暉 氏

【事業内容】

鹿児島県を発祥とし、九州を中心に展開する株式会社国分ハウジング様。単県ごとにシェアNo.1を確実に獲得していく地域密着の戦略のもと、鹿児島では圧倒的なシェアを誇ります。スケールメリットを活かしたコスト競争力で高品質な住宅を提供しており、従業員数も急拡大を続ける成長企業です。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】
今回は人事政策について支援を受けられたとのこと。急成長に伴い、規模の割に等級・評価制度が追いついていないことが大きな課題でした。プロジェクトを通じて、経営理念に基づく目標管理制度や間接部門へのOKR導入に取り組みました。

採用面では、リファラル採用の比率が高く、従業員満足度の高さがうかがえ、新卒育成においても「前年の新卒が知りたかったことを次年度に伝えていく」という独自のアプローチで組織力を高めていると語られました。

株式会社スカイメディケアラボ 様

言葉と想いで地域をつなぐ 福祉の可能性を広げるIPOへの挑戦
児童発達支援管理責任者 平原 孝洋 氏

【事業内容】

ことばの教室「そらまめキッズ」を運営し、発達に課題のある子供やその家族の支援に携わる株式会社スカイメディケアラボ様。直営の事業所の運営に加え、開業・施設支援のコンサルティングを行うハイブリッドモデルで事業を拡大しています。SNSを活用した集客・採用の仕組みを自社で構築し、広告費に依存しない強固な経営基盤を整えています。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】
本プロジェクトを受けての取り組みとして、集客・採用を自社で回せる仕組みの構築と、各階層に応じた研修制度の整備を報告されました。さらに、福祉を軸に観光・防災・就労支援を掛け合わせた新たな事業モデルの構想も語られ、地域の価値向上を見据えた多角的な展開に期待が高まります。
「同業他社において憧れになり、子供たちや保護者、そして様々な企業の憧れを一緒に紡いでいきたい」と、力強いビジョンを語られました。

ファーマーズサポート株式会社 様

畜産DXで九州から世界へ グローバル戦略を描くIPOへの道筋
代表取締役 春日 良一 氏

【事業内容】
「農業の未来に新しい働き方を」を掲げ、牛の畜産農家を支援するファーマーズサポート株式会社様。AIとカメラ画像を活用した分娩予兆・発情検知システム「MOOVIE(モービー)」を提供しており、九州を中心に導入が進む中、グローバル展開に向けても着実に歩みを進めています。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

「語り尽くせないくらいお世話になった」と冒頭で感謝の言葉を述べられ、自社のバリュエーションの不明確さや、国内外の戦略が整理しきれていなかったことを課題としてあげられました。プロジェクトを通じて業界内の各社比較や株式投資型クラウドファンディングの知識など、これまで把握しきれていなかった情報や視点を得ることができたとのこと。
「グローバル畜産DXが盛り上がっていることがわかったので、その強みを活かしながら国内外に展開していきたい」と、今後の展望を語られました。

株式会社フレッシュ青果 様

長年のデータが武器に 流通のプロが挑む、IPOを見据えた内部管理体制進化
DX推進室 室長 澄川 和治 氏

【事業内容】

「流通のプロ」として、飲食店やホテルなど食事を提供する事業者へ野菜・果物を届ける株式会社フレッシュ青果様。鹿児島を拠点に沖縄から関東まで22の営業所を展開し、広域の仕入れ網を活かした豊富な品揃えと、新鮮かつスピーディーな配送を強みとしています。

【自社の課題と本プロジェクトを受けた成果】

今回のプロジェクトを通じて「長年蓄積してきた販売データの活用法についてヒントを得た」と語られました。業績管理の見直しでは、部門・部署別の責任の明確化や目標と実績の乖離分析など、5つのポイントに沿って自社の体制を確認。「やってはいたが行き届いていなかった部分もある」振り返られました。

今年2月に設立30周年を迎えたフレッシュ青果様。さらなる飛躍として「上場を視野に、内部管理体制の強化に引き続き取り組んでいきたい」と語られました。

講評

プロジェクトに参加された皆様の成果報告を終え、九州FG証券株式会社 野島氏、株式会社東京証券取引所 岡野 氏、運営事務局 城戸氏から講評をいただきました。

九州FG証券株式会社 代表取締役副社長 野島 洋治 氏

隣県・熊本から参加された野島氏。「隣の県にこれほど前向きな企業がいることが羨ましい。九州として心強い反面、熊本も頑張らないといけないと感じた」と、心境を率直に語ってくださいました。各社の発表に対しては、「自社のリソースを理解し、それに合った取り組みをしている」「ガバナンスの強化も着実に進んでいる」と評価。「非常に学びの多い機会だった」と述べ、引き続き支援していく決意を示されました。

株式会社東京証券取引所 上場推進部課長 岡野 豊 氏

初回から本プロジェクトに参加されている岡野氏。「毎年各社ともブラッシュアップされている。今年は上場を具体的に視野に入れて進んでいると感じ、心強い」と語られました。上場はあくまで手段であるとしながらも、支援機関と連携しながら鹿児島県でこのプログラムが継続されることへの期待を改めて述べられました。

有限責任監査法人トーマツ パートナー 城戸 昭博 氏

「各社の経営課題はそれぞれ異なるが、確実にそれをクリアしながら成長しているという印象を受けた」と語る城戸氏。コストアップや倒産件数の増加など、経営環境がこれまで以上に厳しくなる中でも、「支援対象の企業はその逆境を克服し、成長していくポテンシャルを持っている」と力強く述べられました。締めくくりとして、「自社最大の経営課題を適切に識別し、自社にないリソースはサポート機関の力を借りながら、さらなる飛躍を目指してほしい」と、参加企業への期待を込めた言葉で締めくくられました。

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